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【ネタバレなし】『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』感想 MeToo運動がもたらしたもの

【ネタバレなし】『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』感想 Me Too運動がもたらしたもの

このブログを読んで頂いている人はお分かりだと思いますが、私はティモシー・シャラメにお熱です。
彼の出ている作品ならば、どんな駄作だろうがいわくつきのものだろうが観たいという気持ち。

というわけで、当然今回ご紹介する『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』も凄く楽しみにしてました。

ウッディ・アレンとティモシー・シャラメ、そして雨の街ニューヨーク。
それだけに飽き足らずエル・ファニングとセレーナ・ゴメスがヒロイン!!!
もう出演者を聞いただけで観ない訳にいかない。

コロナの影響もあり頻繁に映画館には行けてませんでしたが、この日はティモシーシャラメDAYと名付けて『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』と『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』をはしごしたのでした…。

目次

『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』あらすじ・キャスト

レイニーデイ・イン・ニューヨーク』のあらすじキャストをご紹介。
今までウッディ・アレンの映画を観たことがある人は、もうお決まりのパターンみたいのが分かっていると思います。
そう、今回もご想像の通りの展開でした(笑)
ただしネタバレはしないように気を付けますね…。

キャストもいかにも若者ウケしそうなキャスティング!!
ティモシー・シャラメを採用して、彼もこの仕事を受けてくれたことが私は嬉しい…。
後述しますが、『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』は少々いわくつきの映画となってしまったので(泣)

あらすじ

大学生のカップル、ギャツビー(ティモシー・シャラメ)とアシュレー(エル・ファニング)は、ニューヨークでロマンチックな週末を過ごそうとしていた。きっかけは、アシュレーが学校の課題で有名な映画監督ポラード(リーヴ・シュレイバー)にマンハッタンでインタビューをすることになったこと。生粋のニューヨーカーのギャツビーは、アリゾナ生まれのアシュレーに街を案内したくてたまらない。ギャツビーは自分好みのデートプランを詰め込むが、2人の計画は晴れた日の夕立のように瞬く間に狂い始め、思いもしなかった出来事が次々と起こるのだった……。

引用元:『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』公式サイト

この物語の流れに既視感を覚える人もいるはず。
そう、『ミッドナイト・イン・パリ』です。
なんならタイトルも似てるじゃんと思いますよね。
はい、私もまさにそれ思いました(笑)

ウッディ・アレンはニューヨーク生まれであり、今までにも沢山のニューヨークが舞台の作品を発表しているので、やはり思い入れがある地なんだなぁと思います。

キャスト

レイニーデイ・イン・ニューヨーク』のキャストは言ってみれば今一番輝いてる俳優たちを集めました!!!という感じ。
きっとコロナやMe Too運動の影響がなければ動員数多かったのではないかと思います。
そんでもって、これだけのメンツを集められるのはやっぱり大御所のウッディ・アレンだからなんだろうなと改めて感じました。

ティモシー・シャラメ:ギャツビー役

ティモシー・シャラメは最近出演作が多すぎて…。
ファンとしては追うのが結構大変な俳優さんです(笑)
同時期に『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』も公開されていますし大人気ですね!!

というか、毎回ティモシー・シャラメは退廃的な役柄が多い気がします
薬物におぼれたり、金持ちなのにぐうたら放浪してたり…。
今回も実家が成金で文化人気取りなのを恥じていて、なのに親からの支援には頼りきりというツッコミどころ多すぎな大学生。
顔がいいといろんなとこに引っ張りだこなんだなぁとも思える役です。
でも、これが何をしても絵になっちゃうんですよ!

個人的なオススメは出世作の『君の名前で僕を呼んで』です!
同性愛ものが大丈夫な人は是非みてください!!

Call me by your name
君の名前で僕を呼んで 桃とオールナイト体験君の名前で僕を呼んでのレビュー 京都みなみ会館のティモシー・シャラメNightにて鑑賞。オールナイトの内容にふれつつ、エリオとオリヴァーの関係や桃のシーンや最後の長回しについて触れています。映画を見終わって余韻を楽しみたい人に原作の楽しみもおすすめしています。...

エル・ファニング:アシュレー役

エル・ファニングはハリウッド映画からマニアな映画までいろいろ出演されている女優さん。
もう見た目が完全に天使です。
今回はギャツビーの彼女の大学生役として登場。
田舎生まれのお嬢様で、生粋のお嬢様なだけあってちょっと世間からズレています。

これはエル・ファニングの見た目あって実現しうるお話って感じでナイスキャスティング。
そして何よりエルファニングの全裸が見れます。
裸エプロンならぬ、裸トレンチコートが見れます。
これ、重要なので楽しみにして観ててくださいね(笑)

セレーナ・ゴメス:チャン役

セレーナ・ゴメスってもともと女優さんですが、私は歌手のイメージが強い。
でも最近めちゃくちゃ出演作が多いです。
このブログでも取り上げた『デッド・ドント・ダイ』もそうですし、同時期に『ドクター・ドリトル』の声優としても出演しています。

セレーナ・ゴメスはやっぱり都会っ子という雰囲気や、自我をもっている女の子というイメージがありますね。
今回もギャツビーの幼馴染の妹役で、ギャツビーに対して対等に言いたいことを言っています。

注目してほしいのはチャンのファッション!!!
ほとんどのシーンで赤色のアイテムを身に着けています。
赤色が似あう人っておしゃれですよね。

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『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』感想

レイニーデイ・イン・ニューヨーク』の感想はなるべくネタバレなしで紹介していきます!
といっても流れとしてはいつものウッディ・アレン作品なのでネタバレはあるようでないようなところなんですけど。

『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』にまつわる話としてMe Too運動に触れないわけにはいけないので、その件についても説明させて頂きます。

『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』を観るうえで注目して欲しいポイントに絞って記載していきます。

●キャラクターを象徴する色
●ミューズの役割
●Me Too運動の影響

キャラクターを象徴する色

レイニーデイ・イン・ニューヨーク』ではキャラクターそれぞれが自分の趣味趣向を衣服に反映させているように見えます。
一番印象的だったのはチャン。
彼女は流行りの真っ赤なレインコートを着ていて、シンプルながらも都会の子という雰囲気を演出している。
それに対してアシュレーは水色
しかも細かいプリーツのミニスカートを履いている!!!
ちょびっと流行おくれっぽい服装に、名家の娘で世間知らずという彼女の特徴が現れている。
ギャツビーはどちらかというと服装に無頓着
それなりのブランドで、オールドルックな茶色のカジュアルスーツみたいな服装。

チャン=赤
アシュレー=水色
ギャツビー=茶色

というイメージです。

しかも面白いことにMYでギャツビーの着ているスーツの中は、赤色のTシャツに水色のジーンズ素材のYシャツ。
最終日は緑がかった水色のTシャツを着用しています。

キャラクターの差し色としてこの3色が意図的に使われているのでしょう。

レイニーデイ・イン・ニューヨーク』をご覧の際には、是非色にも注目して観てくださいね!

ミューズの役割

アシュレーは尊敬する映画監督へのインタビューに燃えており、その姿勢を買われ使者にも招待される。
そして、彼女は映画業界人のミューズとなっていくのだが、実際問題として何かを作る人にとってミューズ的存在は欠かせないものだと思う。
ウッディ・アレンにおいてのダイアン・キートンのように……。

なんとなくアシュレーをダイアン・キートンに、ギャツビーをウッディ・アレンに重ねてみてしまいます。
何ならダイアン・キートンはその後アル・パチーノとも付き合っているし、今回のアシュレーと重なるところがあるのではないでしょうか。
多くの人が感銘を受ける美女というのはどういう力を持っているのか?
どのように自己認識をしているのか?
自信と希望に満ち溢れエネルギー溢れんばかりの人がミューズとして、芸術家達に刺激を与えているのかも。

それが『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』を観ると少しわかってくるかもしれないですね。

Me Too運動の影響

このMe Too運動に関しては一昨年に話が遡る。
前々から有名な話ですが、ウッディ・アレンは養女のディラン・ファローが彼に幼いころに性的虐待を受けたとして改めて告発されました。

実際問題、ウッディ・アレン自身は家庭内の問題だからとあまり深刻に捉えていないようで、訴えられている最中に回顧録は出すし映画も公開するし、なんなら自分はMe Too運動の賛同の象徴であるとか言い始める始末です。

この問題が本当なのか、どこまで深刻なのかは今回は置いておきましょう。
一番の問題はアメリカのスタジオはウッディ・アレンとの契約を解除し、『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』の出演者らは出演料を寄付するとしたこと、そしてアメリカでは本作の公開を無期限延期としています。

出演者の対応としては
レベッカ・ホールとセレーナ・ゴメスはTime’s Upに寄付。
ティモシー・シャラメはTime’s UpとニューヨークLGBTセンター、RAINN(レイプと性的虐待、近親相姦の被害者を支援する団体)に寄付。
エル・ファニングは出演料かどうかは不明だがTime’s Upに寄付。

更にティモシー・シャラメはインタビューで
「有名な監督と仕事をすることは、後輩に対しても道を見せるいい方法だと思っていた。でも。それは間違いだったかもしれない。今はウッディ・アレンと仕事をしたことを後悔している。」
と話しています。

ティモシー・シャラメが本当に後悔しているのか、それともムーブメントに乗っておかないといろいろ厄介だからそうしたのか……。
真意は分かりませんが、前々から女性関係などで何かと問題があったウッディ・アレンの過去を掘り返すような動きがまだまだありそうです。

犯罪者が作った作品は犯罪なのか?

今回はMe Too運動でしたが、問題がある人が作ったものや出演したものは規制されるべきか?という問題は結構根深い。
最近の日本の例を出してみようと思います。

●ピエール瀧の麻薬使用の影響
●アップリンク社長のパワハラの影響

この二つが顕著だと思いますが、犯罪者の出演した作品はネット配信中止であったり助成金の取り消しなど作品にも影響が出ています。
アップリンクについては姿勢は割れますが、パワハラの社長が運営している会社にお金を落としたくないという理由でアップリンクには行かないと明言している人達もいる程です。

そしてこの問題の根深さは、普段は作品と出演者・制作者、会社と経営者というものが強く結びついていることにあります。
俳優と役柄は演技であるからこそ面白いのであり、麻薬使用者が麻薬使用者の役をやってもそれはリアルそのもので面白みが見出せるのかとかそういう問題もあります。
それと同時に犯罪歴のある監督が撮った映画に罪があるかというと、当然映画には制作者の意図が映し出されていることが多々あるので無関係ですとも言いにくいです。

ただし個人的な意見を言うならば作品に関しては芸術の領域であり、制作者が犯罪者だろうがなんだろうが芸術として成立していればそれでいいと思います。
例えばシリアルキラー展というものがあるのをご存じでしょうか?
これはシリアルキラー(連続殺人犯)たちの描いた作品やセルフポートレート等の資料の展示です。
勿論、日本でもたびたび開かれています。

常軌を逸した犯罪者の絵はある意味研究の対象でもあり、特別な芸術にもなり得るということです。
逆に日常生活では健全そのものの人が、残酷な物語を書いていたとしても作品と人柄はイコールでは繋がらないはずです。

厄介なのは経営者と会社の関係です。
会社には明確な企業理念というものを打ち出しています。
それにそぐわない行動やブランドイメージから乖離するような人が経営者として成り立つでしょうか?

私はアクセサリーを買うときに企業理念やブランドイメージを大切にしています。
アンティークを売りにしているところ、コンサバを打ち出して働く女性の支持を狙っているところ、石の質の高さに自負のあるブランドなど。
それと一緒でその会社やブランドの製品を支持することは、直接その会社を支持することにつながります。
だからこそ、アップリンク問題はその意識がある人にとっては
「しばらくアップリンクには行かないで、他の映画館で映画を観よう。」
と思わざるを得ないのです。
ただ、唯一問題になるのはその会社で働いている人達です。
一人ひとりをみれば一生懸命働いているし、客足が落ちて末端の従業員さんが解雇されるのも忍びない。
映画好きの人々、アップリンクのファンはここで揺れているのです。

レイニーデイ・イン・ニューヨーク』も例にもれず、この問題の中に足を突っ込むことになりました。
このようにして曰く付きの映画となってしまいましたが、私は映画作品には罪はないと思っていますので観てみてくださいね!!!

『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』まとめ

レイニーデイ・イン・ニューヨーク』の感想はいかがでしたか?
毎度のことながら金髪美女は主人公から嫌われ、雨を好み素の自分を受け入れてくれる女の子を求めるという定説に則った物語ですので、ある意味安心して観られるでしょう。

そしていつもいつもウッディ・アレンは自分を登場人物に投影しすぎ。
もう、登場人物全員がウッディ・アレンに見えてきます。
更に言えばこんなに金髪美女に愚行&痛めつけて恨みでもあるのか……?(笑)

来年にも新作を用意しているようなので、コロナの影響で遅延はあるかもしれませんがこれだけ精力的に作品作りをされる監督さんも珍しいので、これからも注目していきたいと思っています。
アレンおじいちゃん長生きしてね。

曰く付きとなってしまった『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』ですが、ティモシー・シャラメがピアノを弾きながらチェット・ベイカーの「Everything Happens To Me」を歌う麗しいシーンや、セレーナ・ゴメスとの美しいキスシーンだけでも本当に価値あるものなので円盤でもレンタルなり購入なりしてご覧になってみてください!!!