映画 嘘八百京町ロワイヤルはTOHOシネマズ二条にて舞台挨拶つきで鑑賞しました
ストーリーのネタバレはありません
◎名茶碗「はたかけ」の誕生秘話!
◎佐輔の陶芸家としての見せ場が凄い
◎「歪み」を考える意味とは?
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嘘八百京町ロワイヤルは京都でのロケがメインです。
あなたが京都に行かれるときはぜひ、ロケ地巡りをしてみてはいかがでしょうか?
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目次
『嘘八百 京町ロワイヤル』作品紹介
『嘘八百 京町ロワイヤル』は堺を舞台にした前作『嘘八百』の続編です。
今回は京都が舞台ということで街並みやストーリーも京都らしいものになっているとおもいます。
そして主演の二人は京都ととても縁のある役者さん。
なんだか二人の日常をみているような『嘘八百 京町ロワイヤル』のあらすじとキャスト・スタッフを紹介します。
あらすじ
今作の舞台はお宝が眠る古都・京都。
注目のお宝は、千利休の茶の湯の後継者で「天下一」と称された武将茶人【古田織部】の幻の茶器。
人気漫画でもお馴染み、「へうげもの」(ひょうきん者)と呼ばれた【古田織部】の茶器の魅力は”歪み”と”疵”。
どこを撮っても絵になる美しい古都を背景に、歪みまくって疵だらけ、だけどどこか憎めない個性豊かな人間たちが、騙し騙されの化かし合いを繰り広げる。
クライマックスは国の名勝・渉成園で開かれる華やかな大茶会。
幻の茶器のお披露目を、TVのお宝番組で生放送するという前代未聞の大仕掛けだ。
コンゲーム参加者が大集結する、スケールアップしたお膳立てで、想像を超える鮮やかな逆転劇を楽しませてくれる!引用元:嘘八百京町ロワイヤル 公式HP
キャスト・スタッフ
監督:武正晴
脚本:今井雅子・足立紳
企画:大木達哉
撮影:西村博光
照明:藤崎征司
録音:鈴木健太郎
美術:新田隆之
衣装:浜井貴子
編集:細野優理子
小池則夫:中井貴一
野田佐輔:佐々木蔵之介
野田康子:友近
橘志野:広末涼子
大原いまり:森川葵
牧野慶太:山田裕貴
よっちゃん:坂田利夫
野田誠治:前野朋哉
西野:木下ほうか
材木屋:宇野祥平
田中四郎:塚地武雅
奥野万蔵:竜雷太
嵐山直矢:加藤雅也
嘘八百京町ロワイヤル 本当のどんでん返しとは?!
前作『嘘八百』では、作中で千利休の茶碗をでっちあげました。
今作でのどんでん返しはどんな展開なのか?!
「はたかけ」の誕生秘話
嘘八百京町ロワイヤルの物語の中心となる「はたかけ」。
「はたかけ」の誕生秘話をご存じでしょうか?
実はこの「はたかけ」は歴史上存在していない茶器なのです!
つまり、映画全体で存在しない「はたかけ」という名茶器を作ってしまった、というどんでん返しが隠されている。
これが嘘八百第二弾の一番大きなどんでん返しなのではないでしょうか。
「はたかけ」誕生に一躍かっているのが、堺市博物館の学芸員・矢内一麿さん。
この人をモデルとして学芸員・田中四郎が生まれたというくらいの人なのです。
古田織部の幻の茶碗を考えるうえで
「できそこなひ」や「あしをれ」といった案もでたそうです。
しかしこの映画は「お宝開運コメディ」、その名前では縁起が良くない。
矢内さんの案で、端の欠けた茶碗で「はしかけ」が出てきたそうです。
そして織部の時代には端(はし)は端(はた)と呼んでいたことから「はたかけ」と命名されました。
もし織部が「はたかけ」を送るとしたら弟子である本阿弥光悦であろう。
これで一作目から、利休→織部→光悦と繋がっていったのです。
則夫と佐輔の因縁の茶碗も本阿弥光悦の赤筒茶碗。
そう考えるとますます二人の絆も今作で深まった気がしますね。
前作を超える見どころ
嘘八百第二弾として公開された「嘘八百京町ロワイヤル」。
やはり「自分たちを騙したやつらをギャフンと言わせる」という基本の流れは一緒です。
今作の一番の見どころは
昔の自分を超えるために奮闘する佐輔の姿ではないでしょうか。
これは映画としての「前作を超える」という意気込みとも共鳴しています。
昔自分が作った贋作の「はたかけ」
それを超える本物以上に本物の「はたかけ」を作ろうと佐輔は奮闘します。
佐輔の陶芸家としての見せ場も嘘八百より増えました。
嘘八百京町ロワイヤルでは蹴ろくろを使いこなし、
登り窯のシーンの釜から茶碗を取り出して冷ます動きもこなし。
佐々木蔵之介さんが、より佐輔という役と一体になって頑張っている。
そんな印象を受けました。
歪みを尊ぶことの大切さ
「歪んでいる」こと、「疵がある」ことを悪いことと捉えてはいないでしょうか?
そんな現代の価値観に一石を投じる。
嘘八百京町ロワイヤルはそんな映画ではないかと思います。
劇中で則夫は何度も歪みに言及します。
「嵐山堂のやつらも歪んでいる、俺たちも歪んでいる」
「(窯から出した茶碗をみて)自然が生み出した歪みかぁ…」
「(落ち込んでいる佐輔に)今のあんたにしか出せない歪みがあるんじゃないか」
確かに歪み過ぎても、嵐山堂のように取り返しがつかなくなる。
でもちょうどいい歪みはこの人の個性になる。
この映画の主人公たちも歪んでいます。
則夫は冴えない目利き美術商
佐輔は贋物作りに手を染めた陶芸家
志野は嵐山堂に復讐を目論む茶道家&ホステス
ずるい人間や、いかがわいい人間が沢山登場するのになぜか愛おしく面白い。
何を考えてるか分からないけど、それが面白い。
説明のつかない面白さが、「歪み」や「疵」がついたモノたちにはある。
嘘八百京町ロワイヤルはそんなメッセージがあるのではないでしょうか。
嘘八百京町ロワイヤルのまとめ
嘘八百京町ロワイヤルでは志野(広末涼子)の登場により、スパイスの効いた作品に仕上がっていると思います。
映画において悪役の女性は少なくとも色気がある。
志野はホステスとしての女としての色気も、
茶道家としての純真さや儚さも、両法兼ね備えている存在です。
志野によって最後まで則夫も佐輔も振り回されます。
でもその振り回され方がまたいいんですね。
二人とも喜んで志野に振り回されて、自分の守りたい所はしっかり守る。
そんな光景に観ていてしっかり笑わされましたし、微笑ましい気持ちにもなりました。
最期のシーンで則夫が佐輔に
「美人は三日で飽きるというけど、あんたと茶碗は飽きないわ。」と言います。
これは佐輔のポテンシャルに対しての告白とも取れますね。
佐輔の作品に一番ほれ込んでいるのは則夫ともいえます。
則夫は佐輔の影のプロデューサーとして、
佐輔は則夫に希望と刺激を与える存在として。
「はしかけ」から梅の花が咲いたように。
お互いが今後厳しい環境下でどのように成長するのかとても楽しみな終わり方となりました。
続編があるかも?という終わり方でしたので、
嘘八百第三弾にも期待できそうですね!!
次回は今作以上に、則夫や佐輔の内面に迫るような作品であるといいなと思います。
今作で古田織部に興味を持たれた方は
古田織部美術館に行かれてみてはいかがでしょうか。
普段は知ることが出来ない茶器や茶道について楽しく知ることができる。
これも嘘八百シリーズの面白いところですよね!
もし1作目の『嘘八百』を観ていない人は1作目をみてから『嘘八百 京町ロワイヤル』に挑戦されることをおすすめします。