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【ネタバレあり】ブエノスアイレス イグアスの滝の意味を考察

【ネタバレあり】ブエノスアイレス イグアスの滝の意味を解説

京都みなみ会館の【Directed by ウォン・カーウァイ】特集にて鑑賞。

ウォン・カーウァイ監督の作品はテンポがとてもいい。
とてもセンスのいい壮大なPVを観ている気分になれました。

ブエノスアイレス』は同性愛をテーマにした作品です。
ウィンとファイの関係が映画の肝となります。

映画のみどころはこちら!

・オシャレすぎるカラコレ
・ウィンとファイの独特な関係
・象徴的な水の流れ

この記事はネタバレを含みます。
未見のかたはお気をつけください。

ブエノスアイレス 考察・解説

ブエノスアイレスはウィンとファイの関係性を描いた映画です。

二人の関係のキーワードは三つあります。

・水の流れ
・やり直し
・白黒とカラー映像

この三つがどういう意味なのか考察し、
二人の関係を深堀りしていきます。

水の流れとウィンとファイの関係

『ブエノスアイレス』においてウィンとファイの関係は
イグアスの滝そのものです。

『ブエノスアイレス』で何度も挿入されるイグアスの滝の映像は
通称、悪魔の喉笛と言われるスポットです。

最大落差80メートルから轟音をたてて流れ込む双方向の滝は
ウィンとファイの関係の激しさを表しているようです。

そしてその水は滝つぼに一つになって流れ落ちていくのです。

もう一つ、ウィンとファイの関係を象徴する場面があります。

それはファイが働く精肉工場での清掃シーン。

床に溜まっている血をファイが水で流そうとしています。
しかし、少し流れたかと思ったらすぐに血が床を覆ってしまいます。

この二つの場面から、
二人の関係は血のように濃く深く、滝のように激しい
ということが分かります。

「やり直し」の関係とは?

『ブエノスアイレス』の劇中でファイのモノローグで多用されている
やり直し」という言葉があります。

ファイはウィンと再び会えば「やり直し」になる。
と感じているのです。

二人の関係の「やり直し」とは、
二人の楽しい時間を過ごしたのち、必ず分かれる。
ということを表しています。

冒頭でファイのモノローグでこのようなことをいいます。

「ウィンの”やり直そう”という言葉は魔法の言葉だ。」

このモノローグで、二人はこれまでに何度もそう言って復縁をしてきたということが分かります。

そして上記で記したように、
劇中では「水」を使って二人の関係を示唆する場面がいくつもあります。

この「やり直し」という繰り返しの関係からどう抜け出すのか。

それが二人の関係の一番の課題ともいえるでしょう。

白黒とカラー映像の意味

『ブエノスアイレス』では白黒の映像とカラーの映像が使用されています。

二つの映像は


白黒は二人の距離・心が離れている場面
カラーは二人が一緒にいる幸せな場面

として使いわけがされています。

特にカラーの場面は、とてもカラフルでビビッドです。

二人の過ごした部屋は特に色が多用されています。

私が一番注目したのは青色です。

・昼間の空
・夜の空
・イグアスの滝のランプ
・部屋装飾

一口に青と言っても、こんなにさまざまな色があるのか…と、
観ていてとても感動しました。

ウォン・カーウァイ監督の作品は
カラー・コレクションにこだわっている作品が多いので、
色に注目してみるのもいいですね。

ウィンとファイは相性がいいのか?

映画をみていると、そもそもウィンとファイは相性がいいのだろうか?
と考えてしまいますよね。

二人は根本的に相性は良くないと思います。

ウィンはわがままで、気まぐれ。
ファイは独占欲が強く、尽くすタイプ。

二人の関係が上手くいっているのはウィンが大人しくしている時だけです(笑)

劇中で二人の仲が良かったのは、ウィンが手を怪我してファイの介護が必要になった時だけ。

手が治ってきてからは、
たばこを買う口実で外に出かけたり、競馬に行ったり…

そんなウィンのことを知っているからこそ、
ファイはウィンを自分の手中に収めたくてパスポートを隠したのです。

二人は相性が良くないのに、なぜやり直したりするのか。

それは相性が良くなくても、どうしようもなく惹かれあってしまうからでしょう。

私は経験はありませんが、
喧嘩ばかりしているのにいつの間にか復縁していたり、
次の瞬間には分かれたりを繰り返しているカップルっていますよね。

そういう人たちはウィンとファイのように、地球の裏側までいっても同じことを繰り返しているのだと思います。

喧嘩する程仲がいいと言いますがまさにこのことですね。

ブエノスアイレス まとめ

映画は最後ウィンの家族が経営する台北の夜市でのシーンで終わります。

ファイはウィンの写真を盗み
「もし会おうとおもえば、どこでだって会うことが出来る」
と思うのです。

ファイとウィンは香港の裏側で出合いと別れを経験しました。

そしてファイはウィンのパスポートを写真持っています。
(劇中で返したことを明示する描写はありません)

いつでも「やり直す」ことが出来るのだと思うことで、
ファイはウィンへの執着心を少しずつ手放すことが出来ているのです。

だからこそ、一人でいる最後の場面でも
ファイの世界は色鮮やかでキラキラと輝いているのです。